こころ、てくてく……表現するこころ

漫画家 海山かのんが、表現する人々のことなど、つぶやいたりマンガに描いたりします。

雪解けの街と安室透バス

雪国のはずである実家に用事で訪れています、が

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早すぎです。表通りはほとんど溶けてしまいました。水路脇の土手に、ぽこぽこふきのとうが出てきています。それって4月はじめくらいだったのでは…?

 

それはさておき、二十歳過ぎのころは雪解けが始まると何ともざわざわした焦りにつつまれたものです。雪が大変、と言いつつ何となく安定した気持ちで過ごす1、2月が過ぎ、大地が変貌する3、4月には、自分も一皮むけなくては!と無意識に心を駆り立てていたのでしょう。

 

年の功か鈍くなったのか最近は、季節の目覚めと自分の抱いている様々なことにはずいっと距離があるような気がします。

 

バスターミナルにこんなバスが入ってきておやと思いました。

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映画を観に行ったのは6月、もう9ヶ月くらい経つのか…

 

 

少女のペン画……インクを買ったので

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山葡萄色、深海色、土筆(つくし)色、と言葉にすると、新鮮なイメージが湧く心地がします。エンジ、ブルーグレー、焦茶、とつい慣れた単語で済ませてしまうのですが。

 

先日、雑誌『MIZUTAMA』のメンバー達で、久が原にあるとても素敵な文具のお店、『アサヒヤ紙文具店』を取材させていただきました。そのさいにパイロットのインク、「色彩雫」シリーズを3色買ったのです。

 

早速この3色を使いたくて、最近はiPadに押されてあまり出番のない愛用ペン軸を引っ張りだし、写真を見ながら描きました。

 

下描きなし、修正不可の一発描きなので、失敗してもとにかく突き進んで出来上がらせます。もっと本物はかわいいんだけれど。iPadならしつこく描き直しを繰り返すでしょう。

 

でも不思議に充実した時間でした。ペンが紙にシャカシャカ接触する音とともに線が積み重なる、その感触空間はとても贅沢に思われました。f:id:raspberrychoco:20190305081204j:image

 

そして、ン10年ぶりに命を吹き返した私の万年筆です。深海色のインクを呑み込んで満足気。乾ききってカートリッジが貼りついて取れなくなってしまった、大昔に入学祝いに貰った普通の万年筆。修理に出す必要があると思い込んでいましたが、ぬるま湯に3日つけたらあっさり復活しました。嬉しいことです。

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アサヒヤ紙文具店のホームページはこちらです。ここを訪れた人はきっと紙にペンで書くことのワクワク感に捕らえられるでしょう。

文房具通販のアサヒヤ紙文具店 こだわり文房具のご紹介と販売

 

 

うさぎの足には肉球がない……虹色鉛筆でスケッチ

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「猫の後ろ足ってうさぎのに似てるな〜」

かつて初めて野良の子猫を保護して、育てている時こう思いました。でもうさぎをよく知っていたわけではなく、何となくそう感じたのです。かかとから足先までが長くて、そこを地面につけてジャンプするところ。

 

先日訪問した先にうさぎが飼われていて、思わず足に注目! スケッチさせていただきました。

 

すごく腿の筋肉が発達していて、かかとから足先まで距離がある。やっぱり猫と似てる。でもなんか違う。そうだ、「 肉球がない!」

 

私はこのときまで、うさぎに肉球がないことを知りませんでした。足の裏はみっしりとふかふかな毛に覆われているばかりです。

 

帰宅後調べてみたところ、数種の例外はあるものの、うさぎに肉球は無いようです。

 

肉球は、基本的には肉食の動物が、足音を立てずに獲物に近づくためなどにあるようで、逃げるほうのうさぎには必要がないらしいです。

 

 

最近のスケッチで重宝しているのはこの鉛筆です。正式な名前は思い出せませんが、虹色鉛筆と呼んでいます。

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うまく先端にピントを合わせることができませんが、こんなふうに一本の芯に色がぎっしり同居しています。隣り合う色をよく考えて配置してあって、混色しつつ微妙な色をつくりながらスケッチしていきます。赤と青を混ぜて紫をつくるのって難しい!

 

今のところデジタルのペンツールではこの機能を見たことはありませんが、いつかできるようになってしまうのでしょうか。

 

 

 

宮沢賢治と保阪嘉内…ETV 特集

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今、宮沢賢治心友の保阪嘉内が同級生ならこんなふうに撮れるかもしれません。

 

長いこと表舞台に登場することの少なかった賢治と嘉内のいきさつですが、私の記憶では、本格的にテレビ番組で特集されたのを観たのは初めてです。( ETV 特集 「宮沢賢治 銀河への旅〜慟哭の愛と祈り〜)

 

賢治を演じた俳優さんはけっこうイメージに合っていたと思います。あとで家族に聞いたことによると、お笑いの人なんですね。

 

番組の元になった、今野勉氏の著書『宮沢賢治の真実ー修羅を生きた詩人』も読んでみました。

 

全体的に、二人の魂の求め合いに関して、菅原千恵子氏著の『宮沢賢治の青春』の考察との近さを感じました。

 

それは、2人の共鳴を「恋」の視点から描いているところです。

 

私の考えでは、それはあってもいいと思いますが、私は他の視点を前衛に持ってきています。

 

それは、賢治が希求する「善き道」を共に進む同伴者として嘉内を強く求め、設定していたということです。

 

それだけ賢治にとっての嘉内は、思想、芸術、宗教などあらゆる面で、他の人では得られない、共感や意気投合をもたらしてくれる存在だったのだと思います。

 

ケンタウルス座と土星との関係は見聞きしたことがなく、この番組ではじめて知りました。興味深かったです。

 

私は、賢治がケンタウルス座に注目していたのは、α星が太陽に一番近い恒星であり、二重星であること、さらにずっと遠くから見れば太陽とα星が双子に見えるであろうこと、その理由かなと思っていたので、他の見方もあるのだと知りました。さらに自分なりに調べてみたくなりました。

 

 

雑誌『MIZUTAMA』に掲載していただいている私の宮沢賢治マンガ、「カムパネルラのシルエット」(宮沢賢治ってどんな人? 第4話) でもちょうど嘉内を描いているところです。『銀河鉄道の夜』にからめて、彼は賢治にとってどんな存在だったのか、キャラクター達が考察していきます。

 

教養豊かで才能幅広く、骨太い魅力を持った嘉内を伝えられたら幸いです。

 

雑誌『MIZUTAMA』の通販が開始されました。ご案内はこちらです。

 

ちなみに、賢治と嘉内の当時の写真はこれです。手前の頬杖ついているのが嘉内。奥の中央が賢治です。

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嘉内に関連した過去記事もよろしければどうぞ。

 

さよならミニスカート

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私がりぼんを現役で読んでいた頃、それこそ大昔のことですが、りぼんってちょっと深いテーマのマンガも載ってるんだよねー、って思いながら読んでた記憶があります。

 

ほんと、りぼんのコミックスを買ったのは何年ぶりだろうか。ン十年ぶりレベルかもしれません。「りぼん編集長が、何があっても載せる!と言った作品 !」(たしかこんな風) という書店員さんの手書きPOP とかわいい絵柄にひかれて買いました。

 

読んでみて… 重い内容に驚きました。怖い!

 

女子は、( 男子もそうだと思いますが ) 心の成熟よりはるか前に体の成熟を迎えます。

 

それが欲望され、世の中によって商品価値を持ち、ヒエラルキーを作り、幼い心がしばしば翻弄されることになると思います。

 

自分の性と向き合いながら、それぞれが人としてどう成長していくのか。普遍的なテーマが描かれているなあと私は受け止めました。

 

読後感をイラストで表現してみました。

 

ジャンプ+でも読めるんですね。私の息子は…読んでないだろうなぁ。万が一読んでたら感想聞いてみたい気がしますが。

 

 

私の漫画を掲載していただいている雑誌『MIZUTAMA』の通販がはじまりました。ご案内はこちらです。

THE WHOを絵心教室で

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THE WHOの4人。ピートの鼻強調し過ぎかもですが、彼のちょっと中央アジア的な顔立ちはけっこう好きなんです。2008年の来日からしばらくはけっこう彼らを描いて、SNSで知り合ったWHOファンなどに見てもらっていました。

 

絵心教室というのは、DSで使うお絵かきソフトのことですが、これに出会った時のよろこびったらありませんでした。直接線を液晶画面に描ける!!どこでもどんな姿勢でも描ける!!液晶ペンタブが私には全く手の届かない時代のお話です。

 

紙の下絵をスキャンしてパソコンで仕上げ、ではなく、デスクトップにらみながら板タブに違和感なだめながら描く、でもなく、あたりまえに普通に描ける。嬉しくていろんなものを描いてせっせとアップしていました。

 

この絵心教室、画面のサイズはせいぜい手のひらくらい、レイヤーは線画と色ぬりの二枚のみ、しかも色ぬりに切り替えたら線画のほうには戻れない、という代物。

 

ツール?も線画は鉛筆の線のみで、太さを数種類に変えられるだけ。線も立てた線と寝かせた線だけだったかな? 

 

その時は、せめて画面がハガキくらいあれば、トーンを塗れるツールがあれば、レイヤーがもう何枚かあれば、エアブラシツールがあれば言うことないのになあ、と思っていました。今iPadでクリスタを使用してマンガを描いているので、その願いは全て、希望の何倍も叶っているのです。

 

でも、絵心教室は、私にとって一番大事なことを2つ実現していました。液晶画面に直接描けること、コードレスで何処でも描けることです。

 

あと個人的に「寝かせた線」の描き味がとても好みでした。

 

コミケ95の思い出 …THE WHO

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この絵はロジャー・ダルトリー。ブリティッシュロックバンド、THEWHOのボーカルを描いたものです。大分前のもので下絵はまだアナログかな?  

 

お正月に、以前録画してあったアニメ 『聲の形』を観たら、オープニングの曲が『My generation 』でびっくり!  なんてTHE WHOづいた年末年始なの?

 

そう思ったのは、昨年末のコミックマーケットで、THE WHOの本が出ていたので見に行ったからです。もう半月以上前のことになったんですね。新年の様々なことが過ぎて、やっと年末あたりのことを反芻しているんです。

 

THE WHOのメンバーの中で、私の若かりし頃の記憶ではロジャーは、圧倒的な作曲力のピート、地熱を吹き上げるようなドラムのムーニー、リード・ベースといわれた、自由に唸るベースのジョンに比べて、才気が劣るように言われがちでした。同時期の他のバンドのボーカルと比べても低められた言い方をよくされていたと思います。

 

でも、私は理由はうまく言語化できなかったけど、なんとなくロジャーはいいなあ、と思っていました。

 

2008年の来日で、さいたまアリーナではじめてロジャーを生で目にして、その光の柱のような立ち姿、存在感に驚きました。そしてかつていいなあと思っていた理由が、それなりに年を重ねて語彙を増やした私の脳裏に浮かんだのです。

 

THE WHOの音楽を地上に繋ぎとめていたのはロジャーだったのだなあ、求道者であろうとするピートや、暴走して弾け飛びそうなリズム隊を抱えて、ひとつの質感にまとめていたのは彼だったのではないか。

 

無理矢理カラマーゾフの兄弟にたとえると、長男ドミートリーのような力強さを持っているといいますか。ピートはアリョーシャかな? ジョンはイワン、ムーニーはまさかのフョードル⁉︎

…というのは冗談ですが。

 

聲の形』のオープニングに使われた、『My generation』です。

 

THE WHO の演奏はこちら。古くて音がイマイチだけどこの頃はムーニーが元気です。

https://m.youtube.com/watch?v=lJW_2wLt704

 

自分のサークル参加も大いに楽しみました。

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雑誌『MIZUTAMA5号』に賢治漫画を掲載し、私個人の、賢治小ネタ集コピー本も出すことができました。思ったよりも多くの方に手に取っていただいて嬉しかったです。

 

お礼が遅くなりましたが、『MIZUTAMA』のスペースにいらしてくださった皆様ありがとうございました!

 

『MIZUTAMA』5号の通販がはじまりました。ご案内はこちらです。