こころ、てくてく……表現するこころ

漫画家 海山かのんが、表現する人々のことなど、つぶやいたりマンガに描いたりします。

ヴィンランド・サガ.....父上!

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ヴィンランド・サガ』のことちょっと。ネタバレしないつもりですが、全く情報入れたくない人は注意してください。

 

主人公トルフィンは、復讐に燃えがちなので、だいたいこんなふうに短剣を構えている気がして、そのように描いてみました。仇のほうは妙に余裕をかましている風ですね。

 

押しかけアニメとして現れた「ヴィンランド・サガ」をずるずると観ているこの頃なのです。押しかけ、というのは、これの前に放映されていた「進撃の巨人」を毎週予約設定していたのを、放映終了したのに解除し忘れていたら、後続の「ヴィンランド・サガ」が問答無用で録画され続けたというわけです。

 

舞台は11世紀の北欧を中心に、戦いにつぐ戦いのバイキングの世界。

 

なんじゃこの殺伐としたアニメは、と見るともなしに見るうちに、主人公トルフィン君は、いったいどうなるんだろう、と、思わず観続けるはめになりました。

 

そうさせるツボは何かなぁ、と考えるに、トルフィンは、幼時の、父上からの大きな存在肯定という、心のお弁当というか、灯りひとつを奥底に内包し、否応なく放り込まれた、殺戮まみれの日々を、生きている。

 

で、父上の残響は、トルフィンが絶望だかトラウマだか復讐心だかでぐちゃぐちゃに塗り込められ、むしろ何も感じなくなってしまっているかのような、そんな極地で、ふと重要な問いかけをしてくる。

 

そんなふうなので、トルフィンはどうなっちゃったかなあ、と、毎週確かめているのです。父上が示したテーマを刻印されて彼はどんな心の軌跡を描いていくのでしょう。

 

少し、例えがぴったりとしないかもしれませんが、森茉莉が、鷗外パッパの圧倒的な存在肯定という燃料を生涯灯し続けて、過酷になっていった実生活をしのぎ、作家生活を立て、生き抜いたように、トルフィンにとっても父上の残響は支えとなり軸となっていくのでしょうか。

 

 

大変な人気作品でコミックスもたくさん出ているようなのに、不勉強で全くこのアニメを観るまで、知りませんでした。せっかくなのでまっさらのまま、原作はなるべく読まずにアニメで展開を楽しもうかと思っています。アニメ終了後、漫画をじっくり読みたいですね。

 

でも、戦闘シーンはやっぱりしんどいなあ。 

世間学会によせて…義父の法事の磁力

自分が普段優先している事が、法事とぶつかり、仕方なく法事を選ぶ。「法事なの、義父の。」と言うと聞いてる相手も、「そうなの、大変ね、」で通ってしまう。でもどうして法事を選ぶんだろう? って自問したらあまりはっきりと答えが出ない。

そもそも、「 仕方ない、」って何なの?

義父の法事に、そんなに磁力を与えるものっていったい何なの?

 

その問いに、日本は、社会と世間、の二重構造で動いている、世間って何なのか、という視点から光を当て、対象化しようとするのが、世間学会で話し合うことのひとつです。

 

11月9日(土) は年に二回の世間学会の開催される日で、楽しみにしていたのですが、私は義父の法事のため出席しません。

 

毎回私は4ページ程の、『世間ぐるぐる』というエッセイ漫画を置かせていただいているのですが、今回分をブログに上げようと思いました。そこでストレートに今回のことをテーマに軽く描こう!とはじめたら甘かった。なかなか後半が決まらず、1ページのみのアップになってしまいました。続きはなるべく早く上げたいと思っています。

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そして、世間学会でいつも前回学会時に発表した作品も置かせていただくのですが、今回はそれもここに上げさせていただきます。

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どうして、賢治を描くの?

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それは、わからないから。

賢治の創作の勢い、意欲は私の憧れです。

膨大な作品世界。多作さ。

キラキラした、しっとりとほの暗い、

真似のできない世界、

 

それなのに

人生を…友情も、作品世界も、健康も

担保にして、理想の世界観に

真っ逆さまに突き進んで行きました。

 

なぜ1人のアーティストとしてでは、

いけないと思ったのか、

彼を駆り立てていたものが何か

彼を描くことを通して

その問いに光を当てたいと

思っています。

 

本日、ベルサール神保町で、おもしろ同人誌バザールに、サークル『MIZUTAMA』で参加します。ブースは「し25・26 」で、11時〜16時です。私は賢治漫画とイラストで参加します。

 

会場でお会いできたら幸いです。

 

 

 

どこかに美しい村はないか…AI時代に向けての問いかけ

 

例えば蚊取り線香に火をつけ、容器にセットする。適切な場所に置き、危なくないよう時々チェック。こういう事を私の親は私が何才くらいで、任せていただろうか。そう遅くはなかったと記憶している。

 

私の子供たちの場合は…出来なくはなかったけど、なかなかの年になるまで、私には不安がチラチラしてしまった。私の育った頃より圧倒的に火を日常で扱う経験が彼らには少ないからです。

 

子供が火を扱うことの怖さを体感するような、失敗をできるようなスペースも余裕も今の時代にはほとんどありません。IHのキッチン…オール電化なら滅多に炎を見る機会もないでしょう。

 

これからAIが生活を制御していく世の中になれば、身体ごと世の事象を習得していく機会はますます少なくなるでしょう。

 

 

ウェブマガジン『MIZUTAMA』の代表、田下啓

子さんが、映画をプロデュースされました。AIの時代に、人々が複雑に築きあげてきたアナログな知恵の集積と、快適で便利ではあるけれど、どこか危ういデジタルな世界をどう止揚していくのか、遠野の四季の美しい映像で、いくつかの希望とともに、問いかけておられます。

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11月3日(日)11時〜16時、ベルサール神保町で開催される、『おもしろ同人誌バザール8』では、この映画の予告編DVDとオリジナルデザインのミニノートがセットで無料配布されます。サークル名は『MIZUTAMA』、参加ブースは、し25・26です。

 

こちらで予告編をご覧になれます。

 

 

 

おもしろ同人誌バザール8に出品します。

私の参加ウェブマガジン『MIZUTAMA』は、11月3日(日) 11時〜16時、ベルサール神保町にて、情報系同人誌にフォーカスした『おもしろ同人誌バザール8』に出店します。

参加ブースは「し25・26 」(2階) です。

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「情報系同人誌」とは、同人誌のカテゴリ–の中で「評論、情報」にあたるもので、例えば文学、スポーツ、乗り物、様々な土地の文化、歴史、グルメ、音楽、などなどテーマは多岐に渡り扱われます。

 

私たちの『MIZUTAMA』は、文具をはじめ、映画、旅行、文学、漫画など様々な情報が満載といえるでしょう。今回は書籍化した「MIZUTAMA5」と「MIZUTAMA6」が出品されます。私の宮沢賢治漫画の第4話、第5話になる『カムパネルラのシルエット』『君はカムパネルラ?』が掲載されてます。

 

私の単独誌としては、『賢治とワンニャン』(400円) を出品します。これは、賢治と動物、賢治と友人、など宮沢賢治のおもしろエピソードの詰め合わせ本で、昨年冬コミにコピー本として出品したものに、今年8月のコミティアで新たに、賢治の心友、保阪嘉内のお話「炎の人保阪嘉内」を加えて出品したものです。

 

そしてこのおもしろ同人誌バザールに合わせて、印刷屋で製本いたしました。

 

当日お寄りの際にはぜひ実際にお手にとってご覧いただけたら嬉しいです。

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公式サイトのご案内もどうぞ❗️

 

 

 

 

 

 

味を見ること 聞くこと

 

子供の頃、教育テレビの番組キャラで、みるちゃん、きくちゃん、というのがいたけれど今でもいるのかなあ?

 

離れて住む子供から、あるメニューの調味料の比率を聞かれました。

 

比率などは適当で、考えたことはなかったので、「Aを投入ののち味を見て、Bを適量。」と答えましたが、ふと、味はなぜ、「見る」のだろう? という問いに捉えられました。

 

味を感じて、とか、味を確かめて、味に触れて、などなど、言葉を巡らせてみますが、やはり味は「見る」がぴったりくるような気がします。味と視覚に関連があるのかどうかわかりませんが。

 

お酒は、普通に味を見る、以外に、唎く、利く、聞く、と表すことがありますが、こちらは聴覚に寄せているのでしょうか。香も聞くと表現することがありますね。香を見る、とは普通言わないですし、何気ないようで、言葉は丹念に使い分けられています。

 

聞く、ほうは音に近いのでしょうか。見る、はもっとストレートに体に摂り入れる感覚に思えます。

 

今日の素材遊びは、こんな感じになりました。

からい、ミントがきつい歯磨き液を含んだような感覚かな。

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IbisPaint でささっと。

 

 

ネット時代の恩恵

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しみじみ感慨にふけることがふたつほどありました。

 

海外に住む長年の友が、MIZUTAMA公式サイトで公開されている私の宮沢賢治マンガを読んでくれて、丁寧な感想を送ってくれました。海を隔てていても、互いの活動をネットを通してリアルタイムで見ることができる時代なんだと実感します。

 

随分長い間、互いの動向は、年頭に贈り合うカードで知るのが全てでした。あれは、時期を申し合わせて、「せーの」で送るメール、あるいは個人に宛てたブログみたいなものだったかもしれません。

 

もうひとつは、私の、宮沢賢治の小さな話題を集めてコピー本にしていた「賢治とワンニャン」を、きちんとした本にすべく印刷所にデータ入稿し終えたことです。これは、私が生まれて初めて全て自分の手で作る手続きをした記念すべき本になりました。iPadで描き、iPadから入稿し、受け取るまで家にいながら完了です。

 

とにかく、つくる意志があれば、敷居の低い手段がある。人に手渡せる機会も多様にある。そういう世に巡り会った、それは嬉しいことには違いないです。

 

冒頭のイラストは本日の素材遊び。IbisPaint です。しみじみ嬉しい気持ちを出したく、ピンクを基調に。

 

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