これ誰だと思いますか?
日本人で勝新をこういう風に描く人はいないのでは、と思います。首周りの徳利セーターのような線は、着物の首あたりの形状を思い浮かべられなかったせいでしょうか。何かを見て確認しながら、でなく、本当に自分の記憶からぱぱっと引き出して描いたのでしょう。
今、東京国立近代美術館で展覧会が行われている、イギリスの現代画家、ピーター・ドイグは、時折友人を呼び自宅でミニシアターのような集まりをしていたようで、その度に即興でポスターを描いたのです。今回の展覧会にはそれらが多く展示されました。上の勝新もその一枚です。
日本映画では他に『東京物語』のポスターもあり、小津の作品に影響を受けた、という説明書きがありました。
それでも、東京物語を観た印象のシンボルを、日本の人はこういう風に描かないような気が、偏見かもしれませんが私はします。新鮮です。
絵画作品で印象的だった作品はどれかといえば、グッズのノートにもなっていたこれもその一枚です。何かを思い出しそうで、思い出せない、自分の記憶にあちこち触れてきそうで、微妙に別世界のような、簡単に着地させない作品が多いように思いました。
このコロナ禍の中、ドイグはどんな作品を描いているのでしょうか。それを期待できるのは同時代の画家だからですね。カラヴァッジョやターナーには望めません。
私も、テレビではありますが、わりと最近みた映画のポスターをうろ覚えのイメージで描いて遊びました。こんな感じだっけ?って。