「僕たちの心は、願いは、ひとつだ。」
『銀河鉄道の夜』でジョバンニは親友カンパネルラと自分の関係をそのように思いたかったのでしょうか。
こんな2人のテーマソング、というか、バックミュージックとしていつも思い浮かべるのが、中学などの合唱コンクール定番曲『COSMOS 』です。
宮沢賢治の青春の輝くひとこまを挙げなさい、といわれたらいくつか思い浮かびますが、保阪嘉内との銀河の誓いの場面は、私は外せません。
賢治は、盛岡高等農林学校在学中のある夏の日、意気投合した友人保阪嘉内と岩手山登山に出かけました。
ふたりは、降りかかるような星々を仰ぎ見、消えかかる松明の熾火を交互に吹いて守りつつ、夜通し語り合ったようです。
嘉内と思いを分かち合う中で賢治は、あたためていた自分の信念と進むべき方向を確信でき、その道を共に歩む同志(嘉内) を得た、という思いで高揚していたと、私は考えます。
しかし、実はふたりの思いにはズレがあり、それはのちに浮かび上がってくるのですが…
それでも賢治は嘉内への手紙に何度もこの日のことを書き送っていますから、彼にとって特筆すべき、重要な場面だったことは確かです。
この場面を想うとき心に浮かぶのが、先ほど紹介した『COSMOS』(ミマス作曲) です。丁度今頃の時期、合唱コンクールの練習に取りかかっている学校も多いのではないでしょうか。
とてもピュアな宇宙的広がりを感じる生命賛歌で、中高生の新鮮な声帯数十人分から発せられると思わずジーンときて浄化されるように感じたものです。
この曲の一番を聴きながら、岩手山の銀河の誓いで、賢治と嘉内が歌い交わしているような心地になってしまい、二番で、賢治の教師時代の生徒たちへの思いを勝手に重ねたりしています。どこか青臭い歌詞が賢治に似合うとも思えることもあります。
『COSMOS』はこちらで聴くことができます。
学生の歌声ならこちら。
https://m.youtube.com/watch?v=9inMte9XmQc