こころ、てくてく……表現するこころ

漫画家 海山かのんが、表現する人々のことなど、つぶやいたりマンガに描いたりします。

ハマスホイを観て浮かんだイメージ

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じんわりと光の滲んだ、暑くも寒くもない、フラットな記憶の場所。

 

何気なく塗り重ねていつのまにかできていた、心の空間の響像。

 

 

東京都美術館で開催されている、『ハマスホイとデンマークの画家 』を観たあと、心に滲んできたイメージをメモしたのが、冒頭のイラストです。

 

それは学生の頃、日々行き来した講堂への階段の踊り場。日によって、微妙に窓から落ちる光の位置や表情が違っても、殆ど無意識に通りすぎていた場所。

 

知らず知らずこころの奥深くに醸成されていた空間。

 

 

ハマスホイの、極限までより抜かれ、絶妙な配置で、熱の伴わない親密さで描かれた物や人からは、微細な響きがたちこめています。

 

それらのイメージが私の記憶を刺激して、辿り着いた場所がこの踊り場。

 

しかしいまだ煩悩が一杯で記憶に色眼鏡がかかるのか、何となく騒々しい。

 

空間に語らせるようになるほど、突き詰めることも、禁欲的になることも、私にはできないのでしょう。

 

 

ハマスホイは以前にも、国立西洋美術館で展覧会が催されており、観に行ってます。カタログを見ると2008年です。え、12年も前なの? 

 

その時は、とにかく私の記憶ではガラガラでした。21世紀になってから、主だった展覧会の混みようが酷くて、その中にあってゆったりじっくり、芸術鑑賞らしい時間を過ごせたので大変印象に残っているのです。

 

今回は、「デンマークフェルメール」という謳い文句が効いたのか? そこそこの入りに見えました。

 

それでも他のヨーロッパの画家のものに比べると、余裕を持って鑑賞することができたようです。

 

前回は「ハンマースホイ」と表記されていたのですが、今回は「ハマスホイ」。どちらが実際の呼び方に近いのでしょうか。

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