ここから何かが始まり広がってゆくような、わくわくする思い、初めてサクラとかぺんてるの絵の具を入学の為に買ってもらったときのような華やいだ気持ちに捕まって衝動買いしました。36色の不透明水彩のパレットです。ドイツ製で、子供が使うものらしい。
目にきもち良く染みてきて、ついつい眺めてしまいます。あー、この色を塗って、何か描きたい。
しかしナマの絵の具には、水に溶く、紙に塗る、乾く、印刷する、空気や光に触れて時間の経過、それらのいちいちに色味を変化させる、不安定さがあります。
印刷と深く関わることの多い、マンガなどでは、その変化の要素の中でも、印刷された時の落差を嫌い、カラーインク、コピックなどいろんな画材が導入されたと思います。私も揃えましたよ。貢いだなあ!
それが殆どの作品をデジタルで仕上げるようになり、事態はさらに一変。ペイントソフトの素材で、いろんな趣向を凝らしたカラーパレットが大量に手に入るようになります。カラーサークルでは自在に好みの色を無限に作れて、劣化の心配もなく、手や机が汚れることもありません。印刷のさいには配慮しなくてはならない色味の違いがありますけどね。
それでも時々画材の原点のところにふらりと戻ってくるのはどうしてなのかな、と考えます。顔料から放たれる色味を目で直接受け止めたり、絵の具を水で溶くときの感触、紙に筆で塗る手触り、それらをかけがえなく思う気持ちゆえでしょうか。
それでは、そのような感触がデジタルなバーチャル空間で忠実に再現されたらどうなるでしょう。そんな時代が来るのでしょうか。そうなっても生の顔料に触れることを私は欲するでしょうか?
今日の素材遊び。アイビスペイントで。